温泉街に蛾の幼虫が押し寄せて
どちらの方も手を焼いている。
踏み潰せば汚くなるし
割り箸で挟もうとすると黒い汁を出し
しがみつく力が強く離れない。
この蛾の幼虫はフクラスズメのようだ。
食草はアオソなどで
どこにでもいくらでも生えている。
これを食べつくすと言うから
相当なものだ。
アオソは昔から越後上布など
織物の原料に使われている。
こんなに大量に発生しているのに
野鳥が食べているところを見たことがない。
よほどまずいのだろう。
やはりその原因はあの汁のようだ。
とても舐める気がしないが
辛いか苦いか臭いかどれかだ。
成虫のまま冬を越すので
当館の車庫の物置などの間に
佇んでいるのを何度も見た。
とてもきれいとは言いがたい。
最初は虫も殺さぬ良い男でいたが
とてもそんな悠長なことは言ってられない。
いつの間にか館内まで入ってくるので。
山の森のホテル ふくずみ アルジ